19世紀の終わりから20世紀始めにタンパク質がアミノ酸から構成されていることが明らかになり、その化学合成が始められた。1953年には du Vigneaud らによりペプチドホルモン、オキシトシンの全合成が報告された。日本においては1950年代にペプチドの化学合成が本格的に開始され、1962年に大阪大学赤堀四郎教授のもとで第1回ペプチド化学討論会が開催された。それ以降ペプチド研究に理学、薬学、農学、工学、医学分野の研究者が参加し、生命の根幹をなすペプチドの研究更には新しいタイプの医薬品開発へと発展してきており、毎年ペプチド化学討論会が開催されてきた。第35回ペプチド討論会(1998年)は従来のペプチド化学討論会からの名称変更である。また論文集 “Peptide Chemistry” は “Peptide Science” となった。
日本ペプチド学会は国際化にも力を注ぎ第1回 Japanese Symposium on Peptide Chemistry(JASPEC)と第2回 JASPEC が1987年神戸で、1992年に静岡でそれぞれ開催された。1997年第1回国際ペプチド討論会が京都において開催され、国際学会をリードしてきた。このようなペプチド研究を基礎として1990年に日本ペプチド学会が設立され、初代会長として榊原俊平博士が選出された。ペプチド研究の発展、国内外におけるペプチド科学に関する討論会の主催と支援、若手ペプチド研究者への支援、研究者間での共同研究の推進などの役割を担っている。現在約400名の会員を擁しているがその拡大が望まれる。日本ペプチド学会は研究者奨励のため、日本ペプチド学会賞および奨励賞を設けている。さらに赤堀四郎先生の名を冠した “Akabori Memorial Award” を創設し、国際的にペプチド研究に貢献した研究者に授与している。