大学院医歯薬学研究部
教授
会長就任のご挨拶
この度、第17期会長北海道大学坂口和靖先生の後任として、第18期の日本ペプチド学会会長に選任されました徳島大学の大高です。微力ながら、理事、監事、評議員の先生方、そして事務局の方々と力を合わせて、学会の発展ならびに会員の皆様の研究推進に貢献する所存です。何卒ご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。
日本ペプチド学会は、ペプチドおよび関連する基礎ならびに応用科学の発展向上をはかり、社会への理解と普及を深めるとともに、国内外の研究者との交流をはかることを目的としています。本学会は1990年に組織され、今年で34年になります。坂口前会長、歴代の会長・理事・監事・評議員の先生方をはじめとする諸先輩方が築かれてきた日本におけるペプチド科学のさらなる成長と持続的な発展を目指していきたいと思います。
ペプチドは、きわめて優れた特性、機能、活性を持つ医薬品および多様な材料としても、再び世界的に大きな注目を浴びています。我が国におけるペプチド科学はきわめて多彩な研究領域で基盤的な発展を遂げ、多くの分野で国際的に高く評価されています。日本における初めてのペプチド科学者の学術集会「第1回ペプチド化学討論会」は、赤堀四郎先生を世話人として1962年に大阪で開催されました。日本ペプチド学会では、1998年より討論会を「ペプチド討論会」と改称し、さらに広くペプチド科学の発展を期する研究者の結集をはかり、ペプチドに関わる総合的な学術集会として内容の充実を進めています。
この間1987年、1992年の国際ペプチド化学シンポジウム(JASPEC)、1997年、2010年、2018年の国際ペプチドシンポジウム(IPS)、2004年、2013年のアジア–太平洋国際ペプチドシンポジウム(APIPS)、2006年のペプチド工学国際会議(PEM)などの国際学会と併せた開催を行ってきました。このように、ペプチド討論会は国際的な学術集会へと進化しており、研究発表の大半が英語で行われるようになっています。また、2027年にはIPSが東京大学菅 裕明先生のお世話により日本で開催されることになっています。広くペプチド科学に関係する多様な領域の多くの研究者の方々に、ペプチド討論会に参加していただくことを強く願っています。
日本ペプチド学会は、国際的な視野を身につけ新たな研究展開を図り、将来のペプチド科学を担う人材を育成していくことも大きな使命と考えています。2001年から特に若手研究者の課題探求の意識から「ペプチドフォーラム」を開催しており、これまでに26回を数えています。コロナ禍の間、しばらくペプチドフォーラムの開催も途絶えていましたが、再び活発に開催されることを期待しています。さらに、若手が主体的に企画・運営する「若手ペプチド夏の勉強会」は、50回を超す歴史を持つ本学会の特徴的な事業です。毎年150名以上のペプチド関連の若手が一堂に会して、若手による若手のための勉強会を開催しています。これらは、若手研究者や学生の勉強の場、情報交換の場、交流の場として重要な役目を果たしています。
日本ペプチド学会では、これら学術集会とあわせ、学会賞、奨励賞、討論会でのポスター賞の選考と授与を行っています。さらに、討論会における優秀な若手口頭発表者に討論会主催者から授与されていた「Good Stone Award」を、今年度より「日本ペプチド学会若手口頭発表賞」として、学会から授与することにいたしました。なお、「Good Stone Award」は、国産化学加藤訓子社長のご厚意によるものあったことから、改めて加藤社長に御礼申し上げます。また、海外関連学会(アメリカペプチドシンポジウム、ヨーロッパペプチドシンポジウム、IPS、APIPS、そしてオーストラリア、中国、韓国のシンポジウム)への若手会員の参加・発表を支援する目的で、渡航援助のためのJPS Travel Awardの授与も行っています。
これらが、優れた若手研究者の方々によるペプチド科学研究のさらなる発展と新たな領域開拓の一助となることを願っています。
また、理事会、評議員会への若手、女性の積極的な参画も大きな課題と考えています。
学会に対する要望などございましたら、会長、あるいはお近くの理事・評議員、または学会事務局までお寄せください。皆様のご支援をあらためてお願い申し上げますとともに、皆様の研究のますますの発展を心より祈念いたします。